視界が暗いと、あれだけ寝たにも関わらず少しだけ睡魔が顔を出す。
明日も火龍の力を使う。早く寝るに越したことはない。
「午前中の内には出発するねー。」
「じゃあ俺もそうします。寝てたら起こしてください。」
「私も同じこと考えてた。二人して午後まで寝ちゃったらどうしよっか。」
「…俺が起きれるようにします。」
シオンも寝起き良くないって聞いたけど、起きれる解決方法があるなら今度教えてもらおう。
「シオンがお兄ちゃんっぽいー。」
「貴女のはごめんです。」
「私もー。」
「…ムカつく。」
実際にシオンがお兄ちゃんになるのは嫌だ。
性格悪いし意地悪だから嫌だ。すぐに何でも斬ろうとするから嫌だ。
「でもトキはシオンがいいんだよ。」
「誰でも一緒です。」
「トキは弓が上手なんだよー。お祭り行った時に見たんだけど遠い的の真ん中に当てたの。凄かったー。シオンにも見せたかったー。」
「…昔練習してたの見てたんで知ってます。」
それはそうか。
きっと小さい頃から練習しないとあれ程の腕前にはならないよね。
「今度教えてもらうのー。」
「……。」
「あ、それにトキは…っうん?」
シオンが私の顔を強引に上げる。
視線が交わる。
「トキのことばっかりですね。」
「ダメ?他に共通の話題見つからなくて?」
「話題が必要なんですか。」
「…もう寝れそうなんだけど、眠るまで何かお話したいなって。」

