「…暑いの我慢するの辛くない?」
「…そっちは大丈夫です。」
「え?大丈夫じゃないのはどっち?」
「…大丈夫です。」
私はシオンの腕の中で。
密かに心配しつつも、眠たくないので明日のことを一人で考える。
「…戦のことですか。」
「すごいね?何で分かったの?」
「貴女と俺、戦に関しては近いものあるんで。」
「そりゃあそうだよ。シオン見て戦覚えたんだもん。」
腕の中からシオンを見上げる形にはなるが、目を向けると胸板に顔を押し付けられる。
お陰で私の視界は真っ暗です。
「明日のことは練り上げ済でしょう。」
「攻め場所も所要時間も被害の規模も全部決まってる。一寸の狂いなく実行してきます。」
「計画が乱れた時は元の作戦は捨てて新たに練り直す方がいいです。相手がトキなんで。」
「本物からアドバイスもらえた!感動っ!」
押さえつけられた頭を強引に動かし、再びシオンの顔に目を向ける。
嬉しさのあまり満面の笑みで。
「シオンは私の恩師だねっ!」
「……。」
「どうしたの?」
「…もう食っていいですか。」
それはダメですね。
危険な発言をされたので私は元の場所に戻る。自分でシオンの胸に帰る。
「…。(今は逆効果だって…分かるわけないか。)」
「…あったかー。」
「…パルテノンに行くまでにトキに話はします。戦果は期待しないでください。」
「大丈夫だよー。トキはシオンのこと大好きだからちゃんと言うこと聞いてくれると思う。」
トキに怒られるのは怖いけど、シオンが味方ならきっと大丈夫だ。

