(二)この世界ごと愛したい




余計に罪悪感が膨れ上がる。


そんな私とは裏腹にレンが綺麗な顔で笑う。




…私だって嬉しいと思った。


その紺碧の瞳に再び私が映ることが、落ち着くこの香りが私に引き止めろと訴えているようだ。




「うん。じゃあちゃんと暖かくして寝てね。」


「…はい。」



ケロッと部屋を出て行ったレン。


特にシオンは何を言うわけでもなく。何を言うわけでもないのに椅子に座ったままの私を抱き上げる。




「なっ、何!?」


「寝ます。」


「また一緒に寝るの!?」


「…病人相手に何もしません。」



本当かよ。


その辺シオンは全然信用出来ない。何せ邪狼だからな。




「お昼寝したから私眠くない。」


「…それでも寝てください。戦行かせませんよ。」


「うっ。」



私をベッドに運び、その横に自分も転がる。




「…まだ寒いですか。」


「私はずっと寒い。」


「早く言えよ。」


「シオンは寒くないの…っ…。」



寒いと言うとキレながらもぎゅっと抱き締めてくれる。


キレてなければただの良い人なのに。性格の癖とは一つ違えるだけで残念なことになりますね。




「俺にはまだ夏同然です。」


「これが夏!?信じらんないよ!?」


「これが寒い方が信じられません。」



体感温度の違いが大きすぎる。




「シオン暑いなら離れてていいよ。私丸まってる。」


「本当なら全部剥いて温めるとこなんですけど、それやると逃げられそうなんで。このままで我慢してください。」



そんなことされたら逃げるどころか、今後お会いするのも全力で避けます。


しかもこの状況を我慢するのはどちらかと言えばシオンだと思う。