ほっこりエピソードも聞けて気が紛れた私に、レンが薬を差し出す。


苦く苦しいお薬タイムだ。




「飲んだら多少熱は下がるだろうけど、二日くらいは安静にしててね。」


「…はーい。」



明日戦場に行くなんて口が裂けても言えない。




「リンはなんでエゼルタに?」


「シオンと天気予報しに来たんだけど、ちょっとバタバタして結局出来なかったのー。」


「将軍と天気予報か。相変わらずリンは可愛いね。」


「か…っ。」



可愛い要素あったか!?



そして私もここで初めてレンがどうしてこんなところにいるのか考える。


熱に侵されてはいるが、元々炎属性なので熱さには強い。




「食欲ある?」


「ない。」


「…ルイがいないからリンに食事を摂らせるのも一苦労だ。」


「るうがいなくても大丈夫ですー。」



心配は掛けないと決めている。


るうがいなくてもちゃんとやるんだって私は意気込んで城を出たんです。




「…そう言えばアキトにルイが失恋したって聞いたけど。ルイ元気?」


「……。」



アキトめ。


そんなことレンに話せば心配するのは目に見えているだろうに。しかも人様の恋愛事情をよくも勝手にペラペラと話したな。




「…るうのこと心配してくれるの?」


「だってリンのことあんなに大事にしてるの見てたし、悩んでたのも知ってるからね。」


「…レンもほんと変わんないねー。」



もうこっちが心配になるくらい優しい人。


私はまだレンに何の返事もしていないけど、どうせ断るなら早い方がいいのかな。