「…ご、ごきげんよう…?」
「久しぶり。」
「あー…はい。」
隣にいるシオンに、絶対ここを離れないでくれと念を送る。
伝わってるかは疑問だが。
「リン。」
「謝ります。悪いと思ってます。」
「…ねえ、リン。」
そう言えばレンって。
場所もタイミングも弁えず、爆弾を落としていくような人だと言うことを忘れていた。
「…やっと会えたね。」
シオンもまさかと思っただろう。
だけど私が一番思ってる。
この状況で。仮にも病人である私に、キスなんてする医術師は世界で一人。
…私の主治医だけだ。
「れっ…!?」
「ん?」
「あ、頭痛い!!!」
「薬持って来たよ。」
誰のせいだと思ってるの!?!?
急に頭にまでぶわっと熱が昇った私は、もう力も入らないほどで。空気が抜けるようにまた布団に横たわる。
「エゼルタ寒いし寒暖差に身体が追いついてないから、リンは少し大人しくしててね。」
じゃあ大人しくさせてくれよ。
「うー…しんどいー。」
「…これ斬って良いんですか。」
「シオンにしては反応遅かったね。もうしんどいからお願い何もしないで何も言わないで。」
「…ったく。」
シオンがゴシゴシと私の唇を拭く。
レンに不意打ちのキスをされたことを、私よりも邪険に思ったシオンが悪態をつく。
「そう言えばリンの連れの人って、この国の人?」
「うん。」
「出会ったばかりって感じじゃないね?」
「トキのお兄さんだよ。」
「あ、将軍のお兄さんか。昔トキにチラッと聞いたことあるよ。凄く強くて自慢のお兄さんだって。」
うわー。
昔ってどれくらい前か知らないけど何そのエピソード。トキ可愛すぎるんですけどー。
でもレンさん、トキは絶対それシオンに話してほしくなかったと思うよー。
「…嬉しい?」
「普通。」
「シオンはほんと捻くれてるね。私はそんなトキが可愛くて今すぐ会いたくなったよ。」
「怒られるのに?」
「…会うのは落ち着いてからがいいかな。」

