物静かな二人は特に会話が弾むことなく、レンは薬の準備のため一度退室。
シオンはあれからもずっと私の側にいる。
「……。」
このまま戦に行かせて大丈夫なのかと心配するも、きっと私はそんなこと顧みずに行ってしまうと分かっている。
「…どこまで俺を悩ませる気だ。」
「…悩んでるの?」
実は目が覚めた私。
私の手を握って俯き加減で肩を落としているシオンが、何やら悩んでいるらしいから声を掛けた。
心配してあげたのに何故か睨まれる。
「…大丈夫ですか。」
「え、顔と台詞がミスマッチだけど。」
「熱あるらしいですよ。」
「そこで相談していい?私を抱えて移動出来ない?」
シオンは何を言い出すのかと驚く。
ゆっくり休むべきなのは一目瞭然。それなのに移動したいと言う私。
「…貴女の結婚相手が頑張ってますけど。」
「だから頼んでるの。絶対怒られるし明日戦にも行かせてもらえない。とりあえず今は逃げた方が良いと思うんです。」
シオンは別に私が戦に行こうが行くまいがどちらでもいい。
寧ろ行かない方が好都合。
「俺病人の扱い何て分かりません。」
「こんなの戦すれば治るから。」
とんでもない荒療治を実行しようとしている私を見て、シオンは移動はしないと決めた。
「…戦で治るなら俺の出番は一生ないね?」
ああ。
戻って来てしまった。

