そんな言い方しないでくれ。
それを言うならシオンだって似たようなものじゃないのかと思い、ふとシオンを見る。
「…何ですか。」
「…な、なんでもない。」
あー、やっぱなんか怠いな。
だからこんなしょうもないこと考えちゃうんだな。
「私ちょっと外の空気浴びて情報収集して来ます。」
「…はい。」
宿の外に出ると、夕暮れ時で。
かなり寝てしまったなと今更反省してる。
シオン暇だっただろうな。戦も始まっちゃったし、本当に天気予報しないまま過ごしてしまった。
いずれきちんと埋め合わせは考えよう。
「い…まは…っ…。」
やっぱ頭痛いし、身体は怠い。
こんな戦前に不調なんて最悪じゃん。コンディション悪すぎる。また寝たら治るかな。
「あ、姫様!」
「本当だ!姫様だー!」
街の方々が私の姿を見て、嬉しそうに駆け寄ってくれるが私は全然元気じゃない。
ただ街の方々の後ろからやんごとない感じの馬車が徐行して走って来ているので、危険がないよう念のため私は路肩に寄るように伝えたくて動こうとした。
「っ!」
あーこれ本気のヤバいやつだ。
意識が遠のく感じがする。目の前が真っ白になる。街の方々が驚いている声が聞こえる。
自分の身体が倒れていくのは分かる。
「…リン?」
地面に倒れる感覚はなかった。
ふわりと誰かが支えてくれたのも何となく分かった。
久しぶりに自分の名前を呼ばれた気がした。
…心安らぐラベンダーの香りがした。

