「どこに行ってるのよ、全く。」


「相変わらずシオンがお気に入りみたいですね。」


「強くて綺麗だもの。可愛くないのが残念だけど、私が玉座に座れば全て思いのままになる。」


「ですね。全ては姫様の御心のままに。」



総司令さんはとにかく軍部を思いのままに掌握したいんだろう。


でなければこんな姫に従う器ではないはず。



適当に姫と話を終えた後、部屋を出た総司令さんは一人になれる場所で再び嘆願書を眺める。




「…面白い子だなー。」



それはもうニコニコと。


嬉しそうに顔を緩めるこの人は、一応シオンの師。きっとその頭脳は凡人では計れない。




「攻守所を転じてって…僕宛にわざわざ書いてくれたんだね。光栄だなー。」



『この嘆願にて攻守所を転じ』とは、全て逆にして考えろと意味を込めた。


それを読み取った総司令さんはまた楽しそうに笑うだけ。




「…あー…でも、そっか。シオンも彼女に落ちちゃったのか。この子僕がお嫁さんにしたいなー。綺麗な子ならもう最高だなー。」



恐ろしいことを、それも独り言で呟いているが。


ここで何故だかどうして、シオンと私の繋がりを総司令さんに匂わせることになりました。



王都に戻った時、シオンはまた頭を抱えることになるんでしょう。