そんな手紙が届いた王宮は、まさに驚天動地。


少し前に私が大人気なく放った炎も相まって、魔女の怒りに触れたと大混乱。




「ひ、姫様…伝書が…っ!」


「そんなのどうでもいいわ!とにかく私を守りなさい!シオンはまだ戻らないの!?」


「それがこの伝書…アレンデールの魔女からのようなんです!」


「何ですって…?」



炎が消え去っても、魔法の力をいざ目にすると怯え震えるのは当然。


しかもこの姫が私に先に仕掛けた。怒らせたと思うのも無理はない。自業自得ですが。




「寄越しなさい。」



ユイ姫さんが私の嘆願書に目を通す。




「…ふふっ。戦神と呼ばれる魔女も大したことないわね。力を制御も出来ずみすみす兵を逃がすなんて、宝の持ち腐れじゃない。」


「い、いかがされますか?」


「死んだ兵の補充をしておいて。生き残った兵には褒美を与えましょう。魔女に一泡吹かせた褒美をね。」


「かしこまりました。」



ユイ姫さんは単純な人で有り難い。


下手に出れば機嫌も良くなり、御し易くて助かります。



そして、この姫の部屋に一人の男がやって来る。




「姫様、失礼しますね。」



ユイ姫さんの付き人が目を丸くしてその男を見る。




「そ、総司令様っ!?」


「ご苦労様。姫様、さっきの炎大丈夫でした?お怪我はありませんか?」



やって来たのは総司令さん。


これだけ驚かれると言うことは普段あまりこの部屋には足を運ばないものだと窺える。




「無論よ。やっぱりあの姫は恐れる程の女じゃないわ。」


「ご無事で何よりです。」


「身の程も知らずに私に嘆願だなんて、笑えるわね。」


「嘆願?」



ユイ姫さんが総司令さんに、私の思惑通り嘆願書を渡してくれる。


これを読み、総司令さんが導き出す答えとは。





「…なるほど。これは確かに期待外れですね。」


「そうよ。やっぱりもう捨て置きましょう。あんな女の力に頼らずともこの国は問題ないわ。」


「分かりました。…あ、この伝書預かってもいいですか?」


「いいわよ。」



私の嘆願書を懐に忍ばせ、総司令さんはニコニコと笑みを浮かべる。




「総司令、シオンは見つかった?」


「探させてるんですけど中々見つからなくて。でも時期戻って来ると思いますよ。」