ふわりと笑った私を見て、微妙な顔をしている失礼なシオン。
なので私もお構いなしに布団に潜る。
「嘆願書の内容詳しく聞きたいんですけど。」
「…後でー。」
「戻ってからの動き分からないんで早めに知りたいんですけど。」
「…起きてからー。」
もう限界を迎えた私はそのまま眠る。
シオンはあまりに早い私の寝付きに驚きつつ、呆れたように溜め息を吐いてその横に座る。
「…自由だな。」
シオンが知りたがっている嘆願書の中身とは。
『この度、姫様の屈強な兵と剣を交える機会をいただきありがとうございます。力を加減出来ず不本意にも王都まで及んでしまったこと心苦しく思っております。
残党兵を取り逃してしまいましたが、姫様の護衛にしては些か愚かに思います。処罰はお任せいたします。
次に兵を向けてくださる時は、是非ともエゼルタから離れた地へ赴いてくださいませ。さすれば王都に被害なきよう取り計らいましょう。
またの機会にはなるでしょうが、いつの日か会いに来ていただけるのを恐怖に感じつつお待ち申し上げます。
この嘆願にて攻守所を転じ、光を覆う暗雲の如きその雲が晴れた暁に、僭越ながらエゼルタ国の安寧を祈り剣を取りましょう。』
この文章に署名を記した。
リン・アレンデールと言う名前。追放された身でありながらアレンデールの名前を記すと言うことは、姫としての発言だと示したいから。
簡単に言うと、誰に喧嘩売ってるか分かっているのかと脅迫したつもりです。

