一国の姫としての言葉。
それは、時に優しく民を包み。時に厳しく兵を律する。決して甘やかすだけではない。
そしてアレンデールへ向かうことを決めた兵達は、姫としての私の言葉をその身に刻む。
「「御意。」」
片膝付いてご丁寧に礼を尽くしてくれる。
「よし、出来たー。」
「姫様は先程から何を書いてたんですか?」
「ユイ姫さんに嘆願書っ!」
「「はあ!?」」
それが出来上がったので私はシオンに借りた笛で、シオンの鷹を呼び寄せる。
お久しぶりの鷹さんは相変わらず凛々しくて可愛い。
「…この鷹って飼い主分かる?」
「いえ、良くいる鷹なので…。姫様の鷹ではないんですか?」
それなら良かった。
シオンの鷹だとバレると面倒だからね。そしてクロにはエゼルタのお城の場所は覚えさせてないんですよね。
「今借りてる子なの。鷹さん、エゼルタのお城に届けてね。」
足に嘆願書を括り、空へ放つ。
「これで最後の仕上げが済めば、残った兵達にもたぶん手は出せないと思うよー。」
「い、一体…何をお考えで…?」
「ただの嘆願書だよー。」
「仕上げと言うのは…?」
ユイ姫さんが私に二度も兵を向けたのは、私を侮って下に見ているから。
国を、姫の立場を追われた私を舐めているんでしょう。
「私の戦はね。基本人の心を翻弄するの。今回も変わらない。」
「翻弄?」
「ユイ姫さんにも綺麗に踊っていただけると嬉しいなー。」
掌の上で。
華麗に美しく、雅に踊ってくださいな。

