「残った子達はユイ姫さんの手が及ばないように私が出来る限り手を回しましょう。」
「何をする気だ…ですか。」
「今更敬語じゃなくていいよー。私そんなに出来た姫じゃないし。何なら今追放中だし。」
「あ、そう言えばそうか。追放されて尚、国を守るとは敬服する。」
恐縮です。
そんなに大したことしてませんし出来ませんが。
「贅沢に生かしてもらった分きっちり働かなきゃだからねー。」
「…姫の親衛は二度とごめんだと思っていたが、案外捨てたもんじゃなさそうだ。」
さっきから隊長さんが沢山褒めてくれるー。
嬉しいことですが。
「私を守るのはハルの仕事。皆さんの仕事はそんなハルとアレンデールの民を守ることですからねー。」
紙とペンを借りた私はツラツラと文章を書き連ねる。
書きながら兵達と会話させられている。
「姫様はアレンデールへは一緒に行けませんか?」
「んー。今から私も戦場行くから無理ー。」
「アレンデールとはどんな国ですか?」
「私城の中しか知らないんだってー。お城はそこそこ大きいよー。」
アレンデール行きを決めた兵達の表情は様々。
希望と野心を宿す者。不安に思い幸先を憂う者。どちらでもなくただ隊長に付き従う者。
「でもアレンデールの軍部に入るなら、是が非でも国と民を守ってね。もし今日と同じことしたら…今度こそ私が文字通り焼滅させる。」
軽い脅しだ。
だけど、必要な線引きでもある。
「アレンデールへ派遣する私の顔に泥を塗ったら、ただじゃおかないからね?」
「肝に銘じよう。」
「それさえ守ってくれさえすれば後は何してもいいよ。私は別にタダで助けたわけじゃないからね。」
「「…?」」
傍目には寛大なる処遇。
別にこのままエゼルタでユイ姫さんに裁かせても、正直私は誰にも責められることはないし。この街から退けるだけで街の英雄だろう。
「悪いけどこれは先行投資。私が今助けた命が、巡り巡ってアレンデールを守ることに直結する。私に、この選択は正しかったと生き様で示してみせて。」

