「…では、ここで相手を願おう。」
結果として。
私に斬られることを選んだ隊長さん。
「そうですか。」
「しかし、この命一つで事を納めて欲しい。一騎打ちを所望する。」
一騎打ちとなれば私は他の兵に手は出せない。
この隊長さんは、どこまでも自軍を守ろうと責務を果たしている。
「うん、良く出来ました。」
にこりと微笑み剣を収めた私。
それを不思議そうに見る軍の皆さんからも、今はもう戦意は感じられない。
「またこのままお城に戻ったらユイ姫さん怒るよね?怒られない程度に痛めつけてもいいけどどうする?」
「は?」
「何とかしないと同じことの繰り返しじゃん。」
「…俺一人で戻る。兵達は逃がす。」
わー、ご立派ですね。
その心意気を今後是非とも国民の皆様へ向けて欲しいところです。
「た、隊長!そんなこと望んでおりません!」
「そうです!陛下がまたきちんと軍を正してくれます!それまで耐え忍ぼうと仰ったではありませんか!」
「我々もお供します!」
決死隊なだけあって、団結力が凄い。
みんなこの隊長さんを慕っているんだなって分かる。
「…良かったらアレンデールに引き抜いてあげようか、隊長さん。」
「「「はあっ!?」」」
他の兵はどうなるか分からないけど、ユイ姫さんはこの隊長さんの命だけは見逃してくれない気がする。
性格を知れば知るほど、見せしめに…ってことも考えられる。
「すんごい偉そうなこと言っといてなんだけど、実は私そんなに立派な姫じゃなくて。怒られるし周りに心配かけるし、城の外だって碌に出たことないから自国のことでさえ全然知らない情けない姫なの。」
「…俺の知る姫とは違うな。」
「でも、私はこの世界のどの姫にも負けない。」
おたくのユイ姫さんになんて絶対負けない。
秒で黒焦げに出来る。しないけど。
「どうせ決死するつもりなら、その命私がもらってあげる。」
「…可笑しな姫だ。」
「良く言われます。」

