「姫様おはようございます。朝食をお待ちしました。お連れの方の分もご用意しましたので、お召し上がりください。」
「…わざわざすみません。」
「お顔が赤いですが、ご体調が優れませんか?」
「い、いえ!問題ないので!大丈夫です!」
ドアを開けると宿主さんと従業員の方がいて。
私と宿主さんが話している中、従業員の方がテキパキと食事を机に配膳してくれている。
「本日丁度この宿にお医者様の御一行が一泊する予定がございますので、差し支えなければご相談いたしましょうか?」
「本当に元気です!ご心配なく!」
「そ、そうですか。」
「それより昨日の軍が引き返して来ます。どうにかしますけど、血が流れるかもしれないので子供は外に出さないよう街の方々に周知いただけますか?」
私は穏便に済ませたいが、向こうはそうじゃない気がするので。
しかも私この件に関しては気が立ってるので。
高確率で斬ってしまうと思います。
「ま、またユイ姫様の兵が…!分かりました!」
配膳を終えた従業員共々、大慌てで部屋を後にした宿主さん。
「…姫…か。」
最近、本当に名前呼ばれないな。
そんなことを考えれば頭に浮かぶハルの声。
『リン。』
ああ。
会いたいな。
でも、ちゃんと待ってるよ。
ハルの戦が終わったらアレンデールに滞在出来るように、カイにも相談してみよう。
「ここは大人しく姫になっとくかー。」
とりあえず軍と応戦する間は、追放された分際であまりやりたくはないが。
黒幕が同じ立場のユイ姫ならば、その方が便利かもしれない。アレンデールには勝手をして申し訳ないけども。
「…姫になるって何ですか?」
「あー、便宜上の話…って、シオン!?私まだ怒ってるからね!?」

