ふわふわと銀色の髪を撫でる手と反対の手を、シオンが握る。
自惚れじゃなければ、将軍の道へ引き込む原因になったのは私。この人の強さでは、それは辛く険しい道でもあったと思う。
なのに私を責めることもなく、寧ろ忘れずにずっと密かに守ってくれていた。
「…お節介な人ですね。」
「話変わるんだけど、総司令さんに会いたいです。」
「絶対嫌です。」
「シオンの先生会ってみたい!私も弟子にしてほしい!どうにか取り計らってくれない!?」
「…そもそも向こうは捕える気で居るんですよ。わざわざ会うって馬鹿ですか。」
「捕まらないもん。」
だから会いたいよー。
どうにか約束を取り付けてほしいー。
突撃してもいいけど、一国の軍総司令官にそれは失礼な気がするし。
「でもそんな凄い人が何でユイ姫さんに肩入れしちゃったんだろうねー?」
「…この王政が崩御した先を見据えてるんでしょうね。」
「つまり次に玉座に座るユイ姫様に既に擦り寄ってるってこと!?食えないね!?」
「だからそう言ったでしょ。」
今から擦り寄っておけば、政権交代した時それは楽だし。軍事に関わらないユイ姫さんなら、もう軍関係は全て牛耳れるもんね。
…流石はシオンの先生。
「シオンが性格悪いの絶対その人のせいじゃん。」
「…あんたさ。」
「あ、言い過ぎた?ごめん?」
「…本当良い度胸してる。」
それほどでもございません。
正直で素直なだけです。
「この素直さだけはシオンも私を見習おうね!」
「…素直、ね。」
私の膝からむくりと起き上がったシオン。
「あんたの身の保証しなくていいなら、見習ってもいいけど。」
そう言ってまたまた組み敷かれてしまう私。
だけど、私は知っている。
ドアの外に人の気配がある。恐らく宿の人がご飯でも運んでくれているんだろう。私の身の安全は保証されている。
「シオンは、もっと人に甘えてもいいんだよ。」
「あんたでも良いの?」
「…私は中々側に居られないから、出来たら別の人を探してください。」
もっと身近な人がいいと思う。
ちゃんと弱さを見せられる、信じられる人がシオンに現れると私も嬉しい。
「あんた以外、無理に決まってる。」
「っ…!!!」
強引に塞がれた唇。
そもそも私シオンより歳下だし格下だし、頼りにはならないと思うんですけど!?!?

