(二)この世界ごと愛したい




「っ…。」


「シオンはまたちゃんと隠れててねー?」


「…はぁ。」


「寒いけど頑張って起きようー。」



シオンに伸ばしていた手を引っ込めて、更にシオンの腕の中から脱出を図る。




「…シオン?」


「…何ですか。」


「あー自覚ない?」


「は?」



その変化は些細なもので。


僅かに下がった眉尻と、不服そうに動いた唇。




「よ…っと。」



私はそのまま上半身を起こす。


そしてぽんぽんと自分の膝を叩く。




「おいで?」


「…は?」


「寂しいって顔に書いてるよ?」


「……は?」



だから膝枕でもしてあげようと思った。


最近安売り転売してます。


しかし、未だ高評価継続中なので。寝起きなので夢の世界には行かせてあげられないけども。それでも良ければと笑いかける。




「ハルが膝枕好きなの!」


「…くだらない。」



口とは裏腹に、ころんと膝に頭を乗せたシオン。


素直じゃない…と言うか。これは性格の歪みが問題なんだろうな。


そんなシオンの髪を再び撫でる。




「狼さんだー。」


「腹立つ。」


「本物の狼もこんな感じなのかなー。」


「…知りません。」



どこか寂しさが薄れたシオンを見て、私も安心した。




「実は、トキにちょっとだけ話聞いちゃって。シオンとトキにはお母さんがいないって言ってたから、遅れ馳せながら心配だったの。」


「…貴女に心配されても。」


「トキにはシオンが居ただろうから大丈夫だったと思うけど、シオンはどうなのかなって。」


「…別に。」



トキはシオンに甘えられたけど、シオンが甘えられる…心を許せる人は居たんだろうかと。


勝手に不安に思ってしまった。