思っていた答えじゃなかった。
私の目標であるシオンの師だという総司令さん。正直めちゃくちゃ気になるし私も弟子にしてほしい。
そんな好奇心が溢れまくるが、ここで私は途端に恐怖心も芽生える。
それほどの傑物が、再び私の元へ軍を向かわせているのは一体何の策なんだろうか。
今度はより精鋭にした?結局私の前では意味がないと伝わらなかった?揺さぶりの一種か?
「…こういう思考回路に陥ってる時点で負けかー。」
「は?」
「またここに軍が向かってる。総司令さんの指示だとしたら意図が読めないなと思ってー。」
「…なら、それはユイ姫の一手でしょう。恐らく自分の願いが叶わなかった事に逆上しただけの我が儘です。」
あ、そうなんだ。
未知で得体の知れない総司令さんが相手じゃなくて良かった。
それは良かったんだけど…。
「…シオン、ユイ姫さんのことすごく理解してるんだねー。」
嫌いなんだと思ってた。
やっぱりカイに意図せず聞いてしまった、ソウイウ仲になるとここまで理解が深まるものなのか。
「その言い方止めてもらえませんか。」
「…ただユイ姫さんのこの一手。私は無性に腹立たしいです。」
全滅覚悟の言わば決死隊。
これを当てがわれて私にどうしろと言うんだ。
「殺りにくいなら逃げるべきです。」
「…そうするとまたこの街に何するか分かんないよね。」
「貴女が背負うことありません。この国の問題です。」
「あの隊長さんまさか将軍じゃないよね?」
「あれはユイ姫の親衛隊。元は武官だったのをユイ姫が選りすぐって自分に侍らせてるだけです。」
ここまで来るとユイ姫さんの独裁が顕著になる。
私には理解も出来ないその考えは、一国の姫にしては愚かすぎて信じられない。

