現状、私が誤ってしがみ付いている状態。
離れねばならないことは頭で理解していても、寝起きで頭の回転も動きも鈍い。
「…俺には触るなって言ったくせに。そっちはアリなわけ。」
「な、ナシ…です。」
面目ないです。
ハルの名前に翻弄された。
「…で、いつまでそうしてるんですか。俺は構わないですけど。」
「も、もう離れます。」
のそのそとシオンから離れ、背中を向けて布団に潜る。
よりによって、ハルとシオンを間違えるとは私の馬鹿。大馬鹿。
そしてエゼルタの朝寒い!!!
「ねえ。」
「…何?」
「今は触ってもいいですか?」
今とか前とか後とかないんだー。
いつだってダメなんだー。
「だ…め。」
聞いておきながら、後ろから私を抱き締めたシオン。
返事聞く気ないなら聞くな!?
「口きかないって言ったけど。」
「貴女から触ってきたんで。無効でしょ。」
「無効じゃない。もう話さない。」
「…貴女が寒そうなんでって理由になります?」
この人の歯痒さ満載の優しさはどうにかならないものだろうか。
怒りたいのに怒れなくなる。
「……さ、三分だけ…なら。」
「…かわい。」
回された腕に一段と力が込められ。
私の後頭部に顔を寄せる。
可愛いなんて、アキトの城で言われ慣れたと思ったのに。
「〜っ…。」
未だ悶えてしまうのは、相手が相手だから。

