場所は変わって。


私が街から追い払う形となった軍は、王都のエゼルタ城へと引き返すことになり。



その隊長が状況をユイ姫に報告。




「は?追い返されたですって?」


「申し訳ございません。」


「それで手も足も出さず帰って来たって言うの?」


「…あの力を見れば全滅は必須。体制を整え機会を窺うのが良策と判断しました。」



隊長の判断は誰がどう見ても最善。


敵うわけがない圧倒的力の差を知り、軍の犠牲を考えればそうなる。




「私は捕らえて来いと言ったの。犠牲を減らして帰って来ていい何て言ってないわ。」


「…仰る通りです。」


「もうあなたには頼まない。シオンを呼んできて。」


「…御意。」



こうしてシオンを探すため、あちこち駆け回るものの。


シオンはお忍びで私と街にいるためどこにも居ないのは当然だが。それを知らない城の人間達は困り果てる。




「シオン将軍はどこだ!?」


「あの人また勝手にふらふらと国を出たんじゃないか!?」



最低でも三ヶ月に一度、トキとの情報交換のために国外へ出ることは皆知っているが、今回は帰国したばかりなので流石にいるだろうと誰もが考えていた。


そしてユイ姫のお気に入りで、且つ現エゼルタ最強の将軍であるシオンに刃向かえる者はいない。





「…姫様に報告だ。」



不運にも、隊長は再び成果もなくユイ姫の元へ戻る。