城の最上階に造った俺の部屋。
それなりに気に入ってる。
窓からの見晴らしもいい。
「……。」
街を襲撃。
それが事実なら辛い思いをしたんだろうな。
大軍を追い払うのも、またとんでもなく無茶な戦い方をしたんだろうな。
「…リン。」
その名前を呼ぶだけで落ち着く。
俺の記憶にまだ鮮明に残る。
『アキトー。』
そう呼ぶ声も。
レンと同じ金髪も。
宝石みたいな綺麗な瞳も。
強いのか弱いのか分からない背中も。
その全てが、会いたいと思う要因になる。
「不毛な恋、か。」
思わず自嘲してしまうほど、確かに俺はもうどうしようもないほどリンを想ってしまっている。
こうして、また来る日も来る日も、リンを待ち続けていた。

