「…やっと。」
「え?」
「誰の邪魔も入らない場所に誘い込めた。」
恐ろしいことを言って。
シオンが未だ至近距離にいる私を抱き上げる。
「っ!?」
「…アキトの城では煩いのが多かったし。外は嫌だって言うし。」
ストンと。
そのままベッドに降ろされた。
降ろされて身体が離れた瞬間、私は渾身のスピードでシオンから距離を取ろうと試みた。
…が。
「もう逃げ場はないけど?」
流石、現役の将軍。
私の動き出しを読んでいたのか、凄まじい反射神経で私はすぐに捕らえられる。
そのままベッドに押し倒され言葉の通り、私に逃げ場はない。
「…パルテノン王都には行くなって言った。」
「…謝ったじゃん。」
この状況に納得いかないこともあり、太々しい私の態度が気に入らなかったのだろう。
「ぅんっ…!?」
逃げ場のない私にキスを落とす。
「反省もしないつもり?」
「〜っ!!!」
「そのせいで俺は無駄に朝から疲れたのに?」
「ちょ、待ッ…っ!」
何度も何度も重ねられる唇。
酸欠になるほどではなく、重ねては離れてを繰り返されるので。
呼吸に余裕はあるがそれが逆に私に考える隙を与えるので、恥ずかしさが優って何も考えられない。
「やめ…っ。」
絶妙に言葉も紡げないテンポで。
とめどなく降り注ぐキスの嵐から、逃げたくて逃げたくて。私は抑えられている手を離してもらおうと力を込める。
「…この程度じゃ反省出来ない?」
「ちがっ…んぅッ!?」
今度はもう考える隙もなくなるほど。
頭が真っ白になるほど。
唇が離れないのに角度を変えながら、長く熱い…そんなキス。
「しぉ…っ…も…。」
息継ぎの間も与えてもらえず。
苦しくて、この熱がもうただ熱くて。
このまま溶けてなくなってしまいそうな、そんな感覚に苛まれる。

