「…撤収だ。」
でしょうね。
これだけの力を目の当たりにして立ち向かおうなんて思えないだろう。私だって不本意だった。
それだけムカついたんです。
「あ、王様に伝言頼んでもいい?」
「身の程を弁えろ。今の貴様は国を追われたお尋ね者。陛下に言伝など出来る立場ではない。」
「…婚儀の時の祝辞ありがとうって言いたかっただけだよ。伝える伝えないは任せますー。」
私の言葉に返事もせず、失礼で馬鹿で態度の悪い隊長を筆頭に軍は王都へ戻って行った。
あの隊長、私やっぱ嫌いだ!!!
「無傷は達成だー。良かったー。」
これでシオンに怒られなくて済む。
私は早速シオンに報告しようとクルッと身体を反転させる。
「うわっ!?」
「…立ち振る舞いが派手すぎます。もう少し謹んでください。」
また外套で深く身を隠したシオンがすぐ側に立っていて、思わず驚いた私。
そしてせっかく無傷なのに結局怒られた。
「まずは褒めてよ!」
「どこを?」
「怪我してないよ!?」
「当然です。」
…鬼畜め。
トキの苦労と寂しさが目に浮かぶ。
「…アレンデールの…姫様。」
「へ?」
私から逃げ隠れし。
その後、軍から逃げ隠れする羽目になった街の人が私に声を掛けてくれた。
「こ、この街を…救ってくださったんですか…?」
「はい?」
「先ほど、姫様の力で火を消してくださったんですよね?」
「え、あ…それはそう…いやいや!そもそも私がここに来なければあの軍も来なかったし!迷惑掛けてほんとにごめんなさいっ!」
このポジティブな街の人の勘違いを正し、私はぺこりと頭を下げて謝罪。
本当に悪いと思ってます!ここに来てすみません!!!

