そう考えながら、街へ一歩。
足を踏み入れると。
逃げ惑う街の人、それを蹴散らすように進軍を続ける兵士達。
…何だこれは。
「おやめください!」
「誰かーっ!!!」
「火の手が上がった!水を運べー!!」
これは誘い込み。
完全に私を誘き出そうとしている。挑発されている。
「やな感じだなー。」
この街はエゼルタの街。
やって来たのはエゼルタ軍。こんな横柄な態度で進軍しているが自国の軍。
…うん。この軍の人嫌いだ。
「もしもーし。お探しものは私ですー?」
軍の前に隠れもせず立って、声を掛ける。
訳の分からない街への攻撃をやめてもらわないと、胸糞悪くて全員黒焦げにしちゃいそう。
「アレンデールの魔女。思いの外早く見つかったな。」
「あなたが隊長さん?私に用?」
「お前を捕らえる。」
うんうん。
それが出来ると思ってるのが片腹痛い。
「これっぽっちで?私を捕えるって?本当に出来ると思ってるならエゼルタの軍部は馬鹿なの?」
「何だと。」
眉間に皺を寄せている隊長さんだが。
残念ながら私の方が怒っています。私一人に的を絞れば良かったものを。街の方まで巻き込んで。
「百聞は一見にしかず。」
私は街を不燃の炎で包み込む。
それを街を燃やさんと軍が放った炎ごと覆い、一瞬で全ての炎を消し去る。
パルテノンでの火事も、本来こうしたかったんですよ。そしたらこうも一瞬だったんですよ。
「…さて。こんな感じで一瞬で片は付くけど、どうする?」
「っ!!!」
「出直すならこのまま帰してあげるけど?」
「…これ程までに馬鹿げた力とは。」
馬鹿とは失礼な。
この軍ほど馬鹿ではないと思ってますけど。

