(二)この世界ごと愛したい




私から事の経緯を聞いたシオンは、ここで長考モードに入る。


この人頭良いからね。きっとその脳内では、今後の展開や動き方、様々なことを考えてくれているんでしょう。



お手数お掛けして申し訳ないです。





「…ここで気になるのは、貴女の目的なんですけど。」


「え?私の?」


「情報屋に手を貸すの、何故承諾したんですか。」


「何故って…。」



世界を、教えてくれると言ったカイの言葉に心惹かれたから。


カイの力と、私の存在で、世界を動かすことが出来る気がしたから。


…そんな好奇心が発端。



そこからおーちゃんをほっとけなくなって。カイとおーちゃんと少しずつ仲良くなって。





「色々あって。理由も多様にある…けど。」


「貴女が利用されるのは目に見えてる。そこは流石に気付いてるはずですよね。」


「利用…うん。お金が目的だってはっきり言われたし。」


「分かっててこうなったって事か。」



もちろん分かってる。


だけど、カイの優しさは嘘じゃない。良い人には違いない。最近アキトに負けない邪感が気になるけど。




「利用しようとしてるのは、もしかしたら私かもしれないことにカイも気付いてる。」


「…またハルか。」


「勝手に読まないでよー。」


「貴女も良くやるでしょ。」



人にやられると嫌なもんだな。


私も気を付けよう。





「私はハルの力になりたいなって常々思ってます。」


「…あれのどこがいいんだか。」


「そんな言い方しないでー。シオンも仲良しだったじゃん。」


「仲良くない。」



シオンと二人。


各々考えを巡らせつつ、さっきよりかはマシな空気になったけど。



もう軍が付近に差し迫っている。