私から事の経緯を聞いたシオンは、ここで長考モードに入る。
この人頭良いからね。きっとその脳内では、今後の展開や動き方、様々なことを考えてくれているんでしょう。
お手数お掛けして申し訳ないです。
「…ここで気になるのは、貴女の目的なんですけど。」
「え?私の?」
「情報屋に手を貸すの、何故承諾したんですか。」
「何故って…。」
世界を、教えてくれると言ったカイの言葉に心惹かれたから。
カイの力と、私の存在で、世界を動かすことが出来る気がしたから。
…そんな好奇心が発端。
そこからおーちゃんをほっとけなくなって。カイとおーちゃんと少しずつ仲良くなって。
「色々あって。理由も多様にある…けど。」
「貴女が利用されるのは目に見えてる。そこは流石に気付いてるはずですよね。」
「利用…うん。お金が目的だってはっきり言われたし。」
「分かっててこうなったって事か。」
もちろん分かってる。
だけど、カイの優しさは嘘じゃない。良い人には違いない。最近アキトに負けない邪感が気になるけど。
「利用しようとしてるのは、もしかしたら私かもしれないことにカイも気付いてる。」
「…またハルか。」
「勝手に読まないでよー。」
「貴女も良くやるでしょ。」
人にやられると嫌なもんだな。
私も気を付けよう。
「私はハルの力になりたいなって常々思ってます。」
「…あれのどこがいいんだか。」
「そんな言い方しないでー。シオンも仲良しだったじゃん。」
「仲良くない。」
シオンと二人。
各々考えを巡らせつつ、さっきよりかはマシな空気になったけど。
もう軍が付近に差し迫っている。

