(二)この世界ごと愛したい




シオンは納得出来てない様子で。


私を睨んでいますが、臆する私ではありません。




「…怒ってる?」


「当たり前。」


「シオン私が戦うの嫌?」


「嫌。」



あからさまに嫌そうなシオン。


そんな姿を見て思わず笑ってしまう私。




「自軍を想ってってわけじゃないよね?」


「…分かってて聞いてますよね。」


「一応確認しとこうと思って?」


「…貴女に怪我でもさせようもんなら軍律違反でも俺が斬ります。」



それが聞ければ充分です。


後ろ髪引かれることなく私が斬れます。




「手出し無用だよ。怪我はしない予定だからねー。」


「……。」


「今日のシオンはご機嫌斜めだねー。」


「…分かるんですか?」


「結構分かりやすいよ?」


「言われたことないですけど。」



みんな言えないだけじゃないかな。


アキトの城で会った時とはこんなにも違う。元気もなければ機嫌も悪い。ニコリともしない。断じてそのままでいいけど邪感も薄い。





「…俺は、貴女に守られるのは御免です。」


「へー。」


「……。」


「…ん?」



ゆっくり起き上がったシオンが、私に手を差し出す。


意図が分からずそれを眺めている私の腕をやや強引に掴み、私まで引っ張り起こされる。




「今向かってきてる軍。今朝出来る限り止めようと尽力したんですけど、総司令とユイ姫が中々折れなくて。力不足ですみません。」


「そ、そんなのシオンが謝ることじゃないじゃん!」


「…朝から大いに揉めてイライラしたのを若干引き摺ってたところに、派手に貴女が降ってきたので。」


「ごめんなさい!?」



そうか。


それでこんなに機嫌悪かったのね。




「…何故か貴女が現れるのバレてたんですよね。」


「…へー。」



カイの手回しが早すぎる!!!


そして私がここに来る情報、エゼルタに売っちゃったのね!鬼め!!!