「…ハルは太陽だから。ハルの戦が近い時は基本晴れるよー。」
「あれが太陽?」
「アキトとトキはハルの戦、観戦に行くんだってー。」
「へえ。」
特に興味もないのか、シオンもまた横になって。
当たらず触らずの距離。当然ですが。
「…何かこの国は少し空気が乾いてるね。」
「冬国なんで。」
「そっかー。じゃあこれくらいの時期に来といて良かった。私寒い時の天気予報苦手なんだよねー。」
エゼルタは冬国。
確かに山が多い。つまり盆地が多いので、かなり厳しい冬なんでしょう。
「寒いの苦手ですか?」
「得意ではない。暑さの方が慣れてるからまだマシかなー。」
炎属性なので。
「俺とは真逆ですね。」
「そう言えば暑いの苦手そうだったねー。」
ようやくシオンが落ち着いて、私も疲れた身体を休ませているそんな時。
私のレーダーが反応を示す。
「…この軍は誰が差し向けたのかな?」
「…総司令。」
「なーんだ。王様じゃないのかー。」
もう近くまで来てしまっていますね。
エゼルタ王はこんなことはしないだろうと、勝手に何となく思っていますが。
…総司令さんにも会ってみたいな。
「逃げてはくれませんよね。」
「そうだねー。これは王様にアピールするチャンスだからねー。」
「…トキのためにそこまでするんですね。」
「何からでも守ってあげるってトキに大口叩いて来ちゃったし。それに…。」
エゼルタのお姫様。
シオンとトキを縛り付けている許し難い人。
たぶん、今日シオンが元気ないのもその人のせいな気がするし。
「それに?」
「…狼さんが落ち込んでるのが癪なので、一泡吹かせてやります。」
「は?」
「都合悪いなら上手に隠れててよ?」
カイの話じゃ、政権はほとんどユイ姫が握っているらしいから。
軍事関係にその手が及んでいてもおかしくはない。
おかしくはないなら、叩き潰してあげよう。

