ああ言えばこう言う!!!
鬼畜は健在か!!!
「はーなーしーてー!!!」
「…元気ですね。」
最初から私は元気でしたもの!元気ないのはシオンだけだったんですもん!
「ちょっとほんとにっ…!」
本格的に外で何してんだって恥ずかしくなってきた。
だから、頑張って力を込めて起き上がろうと踠いているが。シオンは離してくれない。それどころか。
「キスでもする?」
「何言ってんのっ!?」
このままでは危険です。
どうしようかと考えて、距離を置こうと引けば引くほど近付かれる。
なら、逆に押してみるか…?
「…へえ?」
「…失策失策。し、失礼しました。」
引いてもダメなら押してみろ作戦。
逆に私からシオンに引っ付いている形になったものの、一概に失策とも言えないかもしれない。
不意を突かれたシオンの力が、若干緩んだ。
「っよし、脱出成功っ!!」
一瞬の隙。
シオンから再び距離を取ることが出来た私。転がったままのシオンへしてやったりと笑みが溢れる。
「…良い作戦だったんじゃない?」
「えっ、褒めッん…!?」
シオンに褒められたと。
また追加で喜ぶ私の頭を引き寄せて、いつの間にか起き上がったシオンが唇を重ねる。
「…顔赤いけど。」
「だっ、誰のせいで…!!!」
ケロッと悪びれもなく離れたシオン。
褒められて嬉しかったのに!憧れの人に良い作戦だって言ってもらえたのに!喜びをもっと噛み締めたかった!!!
「もうちょっと癒して。」
「そんな力は持ち合わせてませんっ!」
また転がったシオンを見て、寝るなり帰るなり好きにしろと思った。
「…今の空気で、天気分かります?」
「…しばらく崩れたりしないよ。晴れ模様です。」
急に天候の話に切り替わり、大いに取り乱されてるこっちがアホらしくなってきた。
気にしたら負けだと思った私も、疲れてその場にごろんと転がる。

