別に無言なのが苦痛なわけではない。
けど、何だろう。
私はいつも通りだ。どちらかと言えば、シオンの空気感が変で。
それに気付いても、私はどうすべきかが分からない。
「…あの。」
「うん?」
「…なんか元気ないです?」
こっちの台詞です!!!
「…私は元気ですけど。」
「そうですか。」
「シオンの方が元気なくない?」
「…そう見えます?」
見えます。
外套でほとんど何も見えませんが。
呆れ返ってるような、少し怒ってるような、嫌なことがあったような。決して元気ではなさそうに見えます。
「お姫様と何かあった?」
「…何で?」
「…ちょっとだけ、香水の匂いが…する。」
実はここへ来る前にもユイ姫の呼び出しを受けていたシオン。
流石に真昼間なので行為はなかったものの、抱き付かれて嫌な思いをして来た後だった。
「香水…か。」
「…え。」
シオンが何を思ったのか私に近付いて、私の首筋に顔を寄せる。
「な、何っ!?」
「…これは何の香水?」
「何も付けてません。ごめんなさい。」
「…へえ。」
すぐに私から離れたシオンは、私を凝視。
「なんなの。」
「…やっぱあの女と違って、良い匂いだと思って。」
「だから何も付けてないって。」
女性らしい香水なんて知らない。
持ってないし、付けたこともない。
「…それで、どうします?」
「私はとりあえずまだこの辺にいるし、シオンはお家に帰るー?」
「…相変わらず腹立つ。」
「なんで!?」

