(二)この世界ごと愛したい




一先ず身を寄せたのは街から少しだけ離れた丘の上。


お天気に恵まれ、暑くもなく寒くもなく適温。



しかし目の前にいる狼さんの機嫌が悪すぎるので、若干寒いです。




「……。」


「……。」



二人になると思い知る。


誰かがいないと…と言うかトキがいないと、私はこの人とあまり会話が弾まない。




「…か、会議間に合った?」


「お陰様で。」


「どうだった?」


「…軍事会議の内容を話せってことですか?」



何もそこまで言ってない。


この人はどうしてこうも捻くれてるんだ。




「ううん、大丈夫。」


「…貴女の鷹、家の人間が受けて内容も見られたんで。天候に関してはまた追々で良いですか?」


「あー…なるほど。でも年内に来る約束はこれで果たしたからね。」



しばらく私もカイにこき使われて、各国飛び回る羽目になりそうだし。




「それとディオンの戦にちょっと乱入するから、開戦までこの辺にいるつもりー。」


「…戦に?」


「トキに怒られるだろうけど、ちょっとアキト軍の足を止めようと思ってー。」


「…怒るで済む話じゃない気がしますけど。」


「シオンもトキを宥めるの手伝ってね!?」



嫌そうなのが空気で分かる。


今日のシオンはどこか余所余所しい気がする。帰国して何か嫌なことでもあったのか、元気もない気がする。




「……。」


「……。」



なのでいつもより会話が弾まない。