(二)この世界ごと愛したい




とにかく良い方には事は進みそうにない。


ので、とりあえず街の人気のない方へ私は進むことにしました。




「うー。私の馬鹿。」



せっかくの新しい街なのに散策も出来ない。買い物も出来ない。何なら追われそう。




「魔女だ!アレンデールの魔女が現れた!」


「街が焼かれるかもしれねえ!とにかく城へ報告しろ!」



街の人たちがあることないこと騒ぎ始めた。



焼かないし。


けど、信用なんて皆無で当然。然るべき対応だと思います。





「…これじゃシオンにご迷惑だなー。」



「全くです。」



ボソッと独り言を呟いたはずが、返事が返って来たので私は落ち込む顔を上げる。


目の前に外套で身を覆う人。



フードで顔も分からないようにしているが、それがシオンだと声で分かった。




「…あ、どうも?ご無沙汰してます?」


「何でこんなことになってんだよ。」



再会早々、無礼モードのシオンさん。




「降りる場所を大いに間違えました。」


「どう間違えればこうなる。」


「すみません。」


「…もう時期軍が来ます。俺見つかるともっと厄介なんで、とりあえずこの街出ましょう。」



まだ何にも楽しめていない街を、泣く泣く後にするしかなくなった。


シオンもとっても機嫌が悪そう。




「…ごめんね。」


「…貴女は本当に厄介ですね。」


「だからごめんって!こんなに怖がられるなんて思わなかったんだもん!」


「…もういいです。」



二人揃って隠れなきゃいけない状況。


予想外な展開です。