「なーに?おーちゃん私に用?」
「はっ!?」
「別にないならいいけど。とりあえずシオンとの約束終わったら戦場行って、エゼルタの拠点からまた馬車で帰ってくるねー。」
何も用はなかったらしいおーちゃん。
何か言いたそうにしてたから声掛けたのに。
なのでそのまま予定を伝えて私は早速馬車に乗り込むため外へ出る。
「…戦、やっぱ行くんやな。」
後ろからそんな切ない声が届いたので、私は思わず立ち止まる。
「…おーちゃん。」
「……は?」
私は自分が首から下げていたダブル将印が付いた首飾りを外し、そのままおーちゃんの首に掛けた。
思わず目を丸くするおーちゃん。
「預かっててー。」
「ばっ、何考えてんねん!自分のも重いのに人の将印なんて重すぎるわ!!!」
「それも私の宝物だから、死んでも帰って来るよ。」
不安を拭えるよう笑って伝えると、おーちゃんは困ったような顔でカイに助けを求めている。
人の将印なんて確かに重すぎるかもしれないけど、私は絶対に帰って来ると。おーちゃんに今は安心してほしい。
「将印三つ持つ経験なんて滅多にないやん、よかったな。」
「よくないわ。重い言うてんねん。」
「天帝のは知らんけど、鬼人のがあればお嬢は化けてでも戻って来るやん。」
「縁起でもないこと言うなや。」
二人のやり取りを聞きながら、私も少し補足する。
「心配してくれるのは嬉しいけど、残念ながら私無傷で帰って来るよ?」
「カッコええ。戦行くのに無傷宣言やで。オウスケ見習え。」
「これが現実になるから困っちゃうよー。」
「ここまで来たらお嬢男前やわ。」
それちょっと嬉しいです。
「だから、ちゃんと待ってて?」
「…分か…って、また子供扱いかっ!?」

