クロがパルテノンに戻り。


次に手紙を届けたエゼルタにて。




シオンの屋敷に舞い込んだ白鷹を、物珍し気に思い腕に呼び寄せた男が居た。




「へえ、白鷹だ。」



足に伝書が付いていることにすぐ気付き、それを抜き取り勝手に中を読む。


私の配慮が功を奏し、中には街の名前と日にちが書いてあるだけ。




「…誰宛かも誰からかも分からないな。」



困ったその男性。


とりあえず白鷹を再び空へ放とうと思ったその時、男性はクロと手紙をサッと素早く奪われる。




「俺の。」


「あれ?シオン宛だった?」


「……。」


「白鷹も珍しいけど、シオンが部屋から出てくるのも珍しいね。」



その男性をフル無視して自室へ戻ろうとするシオン。


恐らく、クロが飛んで来るが部屋から見えて出て来てくれたんだろう。




「…宛名も差出人の名前もなかったよ。誰からか気になるんだけどなー。」


「……。」


「綺麗な字だよね。女の子みたい。」


「……。」


「シオンに限って女の子からの手紙何て有り得ないかー。」


「……。」



返事も返って来ないのに、立ち去ろうと歩き続けるシオンの背中に話し続けるその男性。


側から見れば可哀想な振る舞いだけども。




「白鷹って縁起物だよね。シオンにも良い縁があったのかな。」


「…あのさ。」


「シオンが話してくれた!これも白鷹のおかげかな!」



嫌そうに、迷惑そうに振り返ったシオン。


それだけのことに嬉しそうにニコニコと笑顔を向ける男性。




「…少し黙れ。」


「あ、はい。ごめん。」


「……。」


「軍事会議でのこと怒ってる?でもあれはシオンが悪いよ?」



どうやら軍事会議に参加していたらしい男性は、その時のことでシオンが腹を立てていると思っているらしい。




「あれだけの軍で他国にも迷惑掛けておいて。それだけの力だし、魔女を追うのは当然じゃない。」


「…誰が追ったって無駄。あれに敵うわけない。」


「だから自分に一任しろだ何て勝手すぎるって。あの魔女は必ず捕獲してエゼルタの軍事に役立てなきゃ。人質にすればアレンデールを落とすことも出来るかもしれない。」


「…そんな簡単な話じゃない。」