ちょっと待て。


これ私は聞いて良かった話なのか。



トキはシオンのことは口止めされているから私には話せないって言ってた。つまり、私には知られたくなかったのでは?




「…婚約の話は?」


「無事に弟と結婚すれば白狼は多少解放されるやろうな。けどそこから今度は弟の苦労が始まるし、あの兄弟はほんま姫に弄ばれる可哀想な兄弟やで。」



女性恐怖症。


それは二人ともそうなるよね。



また私はそんな事情も知らずに、トキを助けろだなんてシオンに酷なことを言ってしまったのかと。


今頃になって気付いてしまった。




「…私も色々教えてもらったし、カイに一つ予告をしとこうかな。」


「予告?」


「エゼルタ王の身体が少しでも回復すれば、謁見のために城に呼んでもらえると思うんだよね。」


「はあ?」






「その好機に乗じて、エゼルタの内政めちゃくちゃにして来る。」



私の常軌を逸した発言に、カイもおーちゃんも口を開けてポカンとしている。


しかし、今の話を聞いて私の意思はより固まる。






「エゼルタの姫…第一将ね。一回どん底見せてあげないと気が済まない。」



「「…。(女って怖ー。)」」



シオンとトキを虐めた罪を思い知らせてやります。



そして、この後アレンデールから戻ったクロに次はエゼルタへシオン宛の手紙を届けてもらうためまた飛んでもらって。


私はカイから課された宿題に取り掛かり、カイの拠点を全て丸暗記。



あまりの暗記スピードに二人は驚いていたけど、元々トキの部屋の地図が頭に入っているためそこまで苦ではなかった。




色々ありましたが、二人との距離がまた縮まったような気がした一日になった。