「…色気のない手紙やな。」


「カイうるさい。」


「これ読んだ白狼がどんな反応するんか見てみたいわ。」



どうせ無表情で、適当に返事を書くんでしょう。


『可』か『不可』か。


自分の都合を鑑みてどちらかで返事をしてくると思いますよ。



ただ、シオンと数日過ごした感じを思うと返事はきっと『可』の一文字だと思います。




「年内に行く約束しちゃったからね。面倒だけど、建前だけでもやっとかないと後から何されるか分かんないから。」


「例えば何されるん?」


「例えば…。」



興味津々にカイに聞かれて。


何されるかなって考えた時に思い出すのは…。




「〜っし、知らない!!!」



悪びれもなくしれっとするシオンが浮かぶ。





『こないだの続きを最後まで?』



…そんなの冗談じゃない。


だからこうして先手を打っているんです。




「なになに、そんな赤くなるようなことされた経験あるん?何されたん?」


「や…べ、別に?何も?」



エロ親父、ことカイが嬉々としている。


話せるわけがない!シオンとは過去の思い出もあり私がとち狂っていたので色々あったんだもの!



今思い返せば、同じことはきっと出来ない。




「あの白狼がお嬢にたじろぐとこめっちゃ見たいわー。」


「…たじろいでは…なかったけど。」


「例のエゼルタの姫に弄ばれてる悲劇の人やと思っとったけど、実際は違うもんやな。」


「悲劇の人?」


「聞いてへんの?」



姫に弄ばれるような人ではない。


悲劇に見舞われるような人でもない。





「白狼は姫の犬。基本的に夜のお相手ばっかりさせられるらしいけどな。」




よ、夜の…お相手…?




「なっ、何でシオンが!?」


「そら姫の思召なら普通断られへんやろ。断ったらそれ相応の罰が下るやろうし。」