ハルのためなら何でも出来てしまう私は、きっと二人の思想とは掛け離れた場所にいる。
その美しい夢を、私が穢すわけにはいかない。
「…殺戮兵器と来たか。」
「とは言っても、過保護なハルは天地がひっくり返っても私にそんなことさせないんだけどねー。」
「じゃあ一緒に作らんでええから、俺の手助けはしてくれるか?」
「それは全然、寧ろ光栄です。」
先述した通り、世界を守りたいという目的は似てるので。
ただ同じ目標に向かって一緒に走ってしまうと、後々必ず歪みが生じるのが嫌だっただけです。
「お嬢はほんま鬼人が好きなんやな。」
「絶対ハルには言わないでね。すぐ調子に乗るし、しばらくそれを理由に離してもらえなくなるし、過保護が増すから。」
「言わへんけど、次の戦大丈夫なん?心配で心配で堪らへんのちゃう?」
「ハルは負けませんー。」
昔はそりゃあ心配してましたよ。
でもその心配が当たったことなかったし。ケロッといつも元気に帰って来たし。
「その信頼はもう感服するわ。」
「ハルは私のことが世界で一番大切なの。」
「将印渡すくらいやもんなー。」
「…そんな私を、みすみす死なせたりしたくないだろうからね。」
ハルが戦場で背負う命。
兵の命。
そしてハル自身の命。
そこにおまけで付いてくる私の命。
「おーちゃんに提示した三つの選択肢。私の場合、あの時ハルがもし命を落としてたら…。
私は迷わず三つ目を選んじゃうことを、ハルは自分で分かってるはずだから。」

