(二)この世界ごと愛したい




本日明らかになった、このオヤジ紛いな発想がなければ本当にただの良い人だ。




「ご馳走様ー。」


「お嬢、今日はどないする?」



朝食のお礼を伝えると今日の予定を聞かれる。




「…手紙を、書こうかな。」


「手紙?誰に?」


「ハルとシオン。」



ビッグネームの二名に驚いて、何を書くのかと更に質問されるがそこははぐらかした。


せっかくエゼルタに行くんだったら、用は早めに済ませたい。



何せこのカイの情報網を使って、私という存在で世界を動かせるのなら。


…これから大忙しになる。




「ちょっとお店の前にいるねー。」



声をかけて。


外に出て空気の流れを読む。



今回、主に読みたいのは天候。ハルに手紙を書くのは戦前後の天気を知らせたいため。




「ハルは晴れ男だからなー。」



雨の気配など微塵もない。


相変わらず、太陽を呼び寄せてしまうんだな。ハルは。



そしてエゼルタで天気予報しようと、シオンと約束をしたので。少し早いけど、ここで断られても大義名分守られるだろう。




私は得た情報を持ち帰り、カイに紙とペンを借りてツラツラと書き始める。




「…字、綺麗やな。」


「おーちゃん近い。」



私が手紙を書く様子を、かなり間近で観察するおーちゃん。


内容まで見られてしまっているので、おーちゃんにはデリカシーというものがないらしい。ハルと同じだな。




「よーし。ハルにはこれでいいや。」