(二)この世界ごと愛したい





「お嬢、コーヒー置いとくで。」


「…うん、ありがと。」



「「…。(元気ないなー。)」」



着替えてしまえば、もう血迷うことも慌てふためくこともない二人。


年の功というやつですね。



そして置かれたコーヒーの前に座って、カップに手を伸ばすと。


カイが切り込む。




「お嬢耳弱いん知らんくて、堪忍な?」


「…き、気にしてない。」


「天帝が羨ましいわー。」


「…何が?」



アキトが羨ましいとは異なことを。




「天帝の城で寝たんやろ?」


「そりゃ…うん?」


「あれ?まさか天帝も弱点未開発か?」


「開発?」



自分が馬鹿になったのではないかと思えるほど、カイの話は難解で。


よく分からないまま話だけが進む。




「カイ、お嬢分かってへんのちゃう?」


「そんなわけ…。お嬢は天帝に毎晩抱かれててんから、なあ?」



…ちょっと待ってくれ。


朝から一体何の話だ。それも人が落ち込んでる時に。




「〜っそ、そんなこと出来るわけっ…。」


「……は?」



アキトではなくシオンには、若干喰われかけたが。


でもあれもトキに救出してもらったので未遂ですし、カイは私のことそんな風に思ってたの!?




「ま、まさか…純潔?あの天帝が手も出さずに過ごせるん?お嬢相手に…?」


「…カイ嫌いになりそう。」


「それはあかん。お嬢ごめんな。けど大事なことやねん。その麗しい純潔、俺がオウスケから守ったる。」



「何で俺が被害被ってんねん!?巻き込むな!?」