朝から元気に真っ赤になるおーちゃん。
だけど私はそんなに元気になれない。悲しすぎて寝起きすぎて無理。
「オウスケー、お嬢ー、はよせな冷め……ても美味いからええか。」
ドアから一瞬顔を出したカイは、まるで私を抱きしめているかのような体勢のおーちゃんを見て。
間違った気を遣い即退室。
「待て!カイっ!」
「大丈夫やで!ごゆっくり!」
「朝っぱらから何考えてんねん!どうにかしてくれ!」
ドアを挟んで会話する二人。
カイはおーちゃんに頼まれて不思議そうにしながら、再び部屋に入る。
「…何や?お嬢そんな悲しい顔してどうしたん?」
「風船、もう元気にならないって。」
「…ほう。俺はお嬢のその姿見て寧ろ元気いっぱい…痛っ!」
血迷った発言をしたカイを、咄嗟におーちゃんが叩いた。
「お嬢、とりあえず着替えて下降りよか。風船はまたオウスケに買ってもらったらええやん。」
「……。」
「にしても、風船そんなに気に入ってたんか。お嬢が身につけとるそのピアスとかの方がよっぽど価値あんのにな。」
以前るうにもらったピアス。
カイはごく自然に、私のピアスに触れる。
たぶん良く見ようと思っただけ。何の宝石だろうと興味があっただけなのは分かってる。
分かってるのに、思わず身体が跳ねる。
「っ…や…。」
「…オウスケ、俺を止めてくれ。」
「何してんねん!?とにかくお嬢はよ着替えて降りて来い!?」
まるでカイを引き摺るように、おーちゃんが下へ連行して行って。
一人残されたので、大人しく朝の身支度を済ませて。
再度風船に目を向けて悲しく思いながらも、二人を追って下の階に降りる。

