結局、脈絡のないカイの話はおーちゃんには理解が出来ず。
そしてアップルパイを淡々と作り、丁度焼き上がる頃に私の目が良い香りに釣られて開く。
「んー…。」
薄く目を開くと、隣にミケさん。
気持ちよさそうにゴロゴロしている。
そして天井にあった風船たち。
「え…!?」
風船たちが、床に落下している。
おーちゃんがくれた、大事に大事にしていた私の研究材料。
私は床にぺたんと座り込み、一回り小さくなってしまった風船を集める。悲しすぎる。
「お嬢、朝飯やで。」
ドアの向こうからおーちゃんの声。
「お…ちゃん。」
「ん?起きとるやん…って、何や?どうしたん?」
あまりに悲しみに暮れる私を見て、おーちゃんが心配そうに駆け寄る。
「…風船、元気ない。」
「可愛すぎか!そういうもんや!」
「どうやったら元気になる?」
「無理や!どうにもならん!」
風船は回復しないらしい。
それを聞いて私は更に落ち込む。
「…どうしよう。」
「どうもこうもないねん。はよ下降りて飯食うで。」
座り込んでいる私を立たせようと、おーちゃんが腕を掴んで引っ張る。
けど寝起きなこともあり、こんな悲しい状況で私には力など入りはしない。
「っおい!?」
ぐんっと引かれる力に抵抗も出来ず。
力加減を間違えたおーちゃんに、私は勢い良く飛び込む形になる。
「…ごめ、ん。」
「〜っお嬢大体いつまでそんな格好で…!」

