私の様子を見て、俄かには信じられないおーちゃんと。年甲斐もなく興奮するカイ。
「それにヒマリのことやけど、アイツは出来た女やからウジウジしとるお前の方が見てられへんと思うで。」
「…けど、ヒマリのこと好きなんはほんまやし。どっちかっていうとタイプじゃないのはお嬢やし。昨日の晩はまあ、アレやけど。」
本当に昨晩、何事もなかったことを悟り急にカイは興味を失くす。
どうでもよくなったらしいので、朝食の準備を始めた。
「勿体ないわー。せっかくのお嬢を堪能出来る機会やったのに。どこが弱いとか聞きたかったわ。」
「った、堪能…て。ほんで弱いとこなんかないやろ、あのお嬢。」
「それを探し出すんが男の悦びやろ。」
「やっぱエロ親父やん。」
私がいない状況下ではカイは偉そうにしている。
この様子から、カイがどれだけ私に気を配っているかが窺えます。
「ん?何作ってるん?」
「アップルパイ。」
「あー、お嬢が好きや言うとったな。カイはほんま意味分からんくらいお嬢気に入っとるな。」
アップルパイを作りながらカイはまた記憶を辿る。
それは私ではない別の誰かと過ごしていた記憶。
「…高嶺の花やねん。」
「はあ?」
「俺にとっては、お嬢は高嶺の花のそのまた上。要は何が何でも傷付けたらあかんってことや。」
「良く分からんけど確かに、傷付けるんはあかんことやしな。」

