あれからおーちゃんも、街を駆け回った疲れもありすぐ眠れたようで。
それなのに私より先に目を覚ます。
「…あ。」
酒場に泊まったことを思い出し、隣で寝ているミケさんと私を交互に見て可愛い顔を緩ませる。
「癒されんでもないな。」
素直じゃない子供なおーちゃん。
それを諌めるのはいつもカイ。
「ええご身分やな、オウスケ?」
「…かっ、カ…っ!」
カイがこの部屋に侵入していることに気付かなかったおーちゃん。不意に声を掛けられて叫びそうになるのを見事阻止したカイ。
「アホ。お嬢起きるやろ。」
「っ…。」
「とりあえず下降り。」
下に降りるように促され、素直にカイに着いていくおーちゃん。
下に降りてすぐに楽しそうに笑顔を向けるカイに、一瞬げんなりするおーちゃんだが。何もなかったことを伝えねばと声を上げる。
「カイ、誤解や!俺は潔白や!」
「若いってええな。俺ももうちょい若ければマジでお嬢狙えたけどな。あれは可愛すぎる。襲いたくなるんも分かるわ。」
「ほんまに何もない!」
「無理があるでオウスケ。あのお嬢があんな格好で隣に寝とって何もなく朝迎える奴がおるわけない。」
それがいたんですよ。
何なら世の中に結構いますよ。
「俺がおかしいんか!?」
「…マジで何もなかったん?俺がナイスアシストで二人っきりにしてやったのに?」
「いらんことすな!?一瞬本気で理性飛びかけてんで!?」
「…ありえへん。」
カイは奇妙な生き物を見るような目でおーちゃんを見る。
「恋仲でもあるまいし、ましてやヒマリのこともあるし。」
「はー…。オウスケは変なとこお利口よな?お嬢は天帝の城から来たんやで?それがどういう意味か分かるやろ?」
「そら天帝に食われててもおかしないけど。」
「恋仲かどうかは関係あらへん!男と女が夜やることなんて一つや!恋愛感情皆無のお嬢でもそれくらいの経験あるやろ!」
とんだ言いがかりを付けられている私。
カイをエロ親父と言ったおーちゃんの言葉は、嘘ではなかったようです。
経験豊富なカイさんです。
「…そうやろか。」

