それに、これで許してって言われたら。
私がキスしてほしかったみたいな…そんな風に取れるんですけど気のせい!?
「ミケー。」
「ニャ?」
おーちゃんは繋いだ手を離すことなく。
逃げてしまったミケさんを呼び戻してまた間に寝かせてあげている。
「ここにおってな。何か俺、お嬢に狙われとるっぽい。」
「はい!?」
「朝まで俺を守っててな。」
「な、わっ、私何もしないよ!?」
言いがかりです!
確かにおーちゃんは可愛いし可愛いし可愛いけど!私は邪なことなんてしません!!!
「お嬢おやすみ。」
「…お、おやすみなさい。」
納得のいかない気持ちを抱えたまま。
私は勘違いをされたままな気がしてならないけど、絡まった手の温もりに。
どこか安心したのも確かで。
大人しくそっと目を閉じることにした。
「…危なー…。」
私が夢の世界に旅立った後、おーちゃんが一人で呟く。
どうやらさっきの一件、私の勘違いではなかったようで。キスする寸前だったと危機感を感じていた。
「こんな中途半端な気持ちで、するわけにいけへんしな。」
ヒマリさんへの想いが残ったまま。
違う女性に邪な感情を抱くことはおーちゃんの正義が許さないらしい。
「…ヒマリ。」
それは、私にはまだ分からない恋心。
その痛みも罪悪感も、まだ理解するには私は恋を知らなすぎる気がする。

