ハルの話になると途端に私は嬉しくなるので、自然に笑顔が増える。
そんな私を見ておーちゃんが呆れる。
「…寝よか。」
呆れ果てて、寝ようと決めたおーちゃん。
宣言通り、私たちの間にいるミケさんを退かすこともなく本当に一緒に寝るだけ。
ここ最近では珍しいことだ。
何せ私、邪城を越えて来たもので。
「おやすみー。」
「…ん。」
てかてか。
こんな可愛いおーちゃんの寝顔なんて、もの凄い破壊力なのではないだろうか。
…ちょっと見たい。
「何やそのウキウキした顔。」
「気にしないでー。」
「…邪はどっちや。」
「え!?寝顔見たいのって邪なの!?」
口を滑らせた私に顔を顰めて、背中を向けてしまったおーちゃん。
「ごめんー。見ない見ない。」
「信じられへん。」
「怒んないでよー。」
「知らん。」
お子様だなー。
カイが父親目線で目を掛けている気持ちが私にも分かる気がする。
「あ、そうや。双剣のこと話そう思て忘れとった。」
「何?」
「剣は替えられへんって言うてたやろ。同じ剣をそのまま重さだけ取る方法ならあるで。」
…何その方法っ!?
驚いて思わず私がガバッと起き上がったせいで、間にいてくれていたミケさんが逃げ出してしまう。
「み、ミケさんごめんっ!」
「ちょっと遠い鍛冶屋…っていうてもお嬢にとっては母国やな。」
「行きたいっ!」
アレンデールにそんな腕の良い職人がいたんだ。
やっぱり私は、そんな国の姫をやっていても何にも知らないのだと情けなくなる。
「ほなまたカイにも話しとくわ。」
「ありがとー!」
「アホ!寄るなっ!」
「あ、ごめん。」
勢い余っておーちゃんに突進してしまったけど、寄るなと怒られてまた離れる。
だって、嬉しすぎる。
これで私はまた少しは力を得られるだろう。

