(二)この世界ごと愛したい




おーちゃんは突然顔を赤くする。


今回は私のが伝染してしまったらしいが、その顔もまた可愛いんです。




「った、助けるのは当たり前やし!」


「…残念ながら私の周りにはあんまりいないよ。そんなヒーローみたいな人。」


「おるやろ!?天帝も鬼人も白狼もよりどり緑やん!?」


「その三人がヒーロー?」



何の冗談だ。


唯一近しいものがあるのはアキトかな。



ハルとシオンが進んで人助けなんてするイメージ、悪いけど全くない。




「ほんの僅かに可能性があるとしたらアキトだけ。残りの二人は助けるどころか平気で見捨てると思うよ。」


「白狼は何となく分かるけど、鬼人は兄貴やろ?優しい兄貴が好きなんちゃうん?」


「ハルが優しいのは基本的に私限定なの。」



ハルが私以外の人に優しくするとしたら、まだ身内くらいだろうか。


それ以外には口悪いし横暴だし乱暴だし。




「そういや将印も渡されたんやったか。俺には気持ち全く分からんわ。」


「だよねー。」


「…お嬢がそれで嬉しそうなんも良く分からん。」


「あーでもハルは狭義ではヒーローかもね。」



おーちゃんはみんなのヒーロー。


誰でも守る、見捨てない、救い上げる。もう揺るぎない正義のヒーロー。






「ハルは私だけのヒーローです。」


「これはもうお互いが馬鹿なんやな?」


「簡潔に言えばそうですー。」