「…いつまでこうしてるの?」
「まだ知りたいねん。」
「この体勢じゃなくて良くない?」
「…ほんまや。」
そうは言っても変わらない。
こんなに可愛いのに、こんなに愛らしいのに。それでも恋愛経験者なだけある。
この醸し出される雰囲気は、私には作り出せないものだ。
「お嬢、俺のこと子供やと思てるやろ。」
「…いや?」
「顔に書いとるわ。確かに鬱陶しい時の方が断トツ多いけど、時にこの顔は便利やねん。」
「便利?」
今度は私が疑問を抱え、首を傾げる。
「今日は俺と寝よか。」
それはもう、図ったような笑顔。
周りに向日葵の花の幻覚さえ見えてしまうような、とんでもない凶器。
「〜っ!!!」
「……。(真っ赤やなー。)」
「ど、どうぞ!!!」
「…おおきに。(チョロいなー。)」
そう言って私の手を離して、コロンと転がったおーちゃん。
…もう可愛すぎてどうしよう。
しかし、私はアキトの城で学習している。一緒に寝てる時は大体密着される率が高い。
なので私はミケさんを真ん中に置き、間に入ってもらうことにした。
「お嬢、まさか俺が何かすると思てるん?」
「…予防線です。」
「ほんま変わっとるな。」
どこがですか。
これは私の経験の賜物です。
「俺をちゃんと警戒できるんが凄いわ。」
「そう?」
「…こんな見た目やし。」
「いや、モテモテでしたよ。昨日も今日も。」
その見た目故、キャーキャー騒がれてましたよ。
「大半の女は俺を人形かマスコットやと思てるだけ。横に置いて可愛がりたいだけや。」
「…気持ちは分からんでもない。」
「やから凄いって感心してんねん。」
こうやって話してるってことは、やはりおーちゃんは自分の可愛さを自覚してるんだな。
さっきのはわざとだな。
「だっておーちゃん強かったし。非力じゃないし。」
「そらな。」
「それに今日倉庫に助けに来てもらった。」
その時、改めて実感させられた。
「おーちゃん、やっぱヒーローみたいだった。」

