(二)この世界ごと愛したい




「…いつまでこうしてるの?」


「まだ知りたいねん。」


「この体勢じゃなくて良くない?」


「…ほんまや。」



そうは言っても変わらない。



こんなに可愛いのに、こんなに愛らしいのに。それでも恋愛経験者なだけある。


この醸し出される雰囲気は、私には作り出せないものだ。




「お嬢、俺のこと子供やと思てるやろ。」


「…いや?」


「顔に書いとるわ。確かに鬱陶しい時の方が断トツ多いけど、時にこの顔は便利やねん。」


「便利?」



今度は私が疑問を抱え、首を傾げる。






「今日は俺と寝よか。」



それはもう、図ったような笑顔。


周りに向日葵の花の幻覚さえ見えてしまうような、とんでもない凶器。




「〜っ!!!」


「……。(真っ赤やなー。)」


「ど、どうぞ!!!」


「…おおきに。(チョロいなー。)」



そう言って私の手を離して、コロンと転がったおーちゃん。



…もう可愛すぎてどうしよう。



しかし、私はアキトの城で学習している。一緒に寝てる時は大体密着される率が高い。


なので私はミケさんを真ん中に置き、間に入ってもらうことにした。




「お嬢、まさか俺が何かすると思てるん?」


「…予防線です。」


「ほんま変わっとるな。」



どこがですか。


これは私の経験の賜物です。




「俺をちゃんと警戒できるんが凄いわ。」


「そう?」


「…こんな見た目やし。」


「いや、モテモテでしたよ。昨日も今日も。」



その見た目故、キャーキャー騒がれてましたよ。




「大半の女は俺を人形かマスコットやと思てるだけ。横に置いて可愛がりたいだけや。」


「…気持ちは分からんでもない。」


「やから凄いって感心してんねん。」



こうやって話してるってことは、やはりおーちゃんは自分の可愛さを自覚してるんだな。


さっきのはわざとだな。




「だっておーちゃん強かったし。非力じゃないし。」


「そらな。」


「それに今日倉庫に助けに来てもらった。」



その時、改めて実感させられた。







「おーちゃん、やっぱヒーローみたいだった。」