アキトはあの通りだし。


でも、トキが女の子に優しくしているところでさえ見たことのなかったハナちゃん。



…私も事情は全く知りませんが。




「お、きる。」


「うん、いい子だね。アキトは怪我の手当てもしてくれなかったみたいだから後で俺がやってあげるからおいで。」


「ありがとー。」




そんなトキにお礼を伝え、私はハナちゃんと浴場へ辿り着きました。





「まさかトキさんまで虜にしちゃうなんて…。」


「ハナちゃん?」


「あっ、ごめん。リンちゃんとりあえずお風呂入りたいだろうと思って準備してたの!」


「うわー助かるよー。」




ようやく目覚めてきた頭で、私はハナちゃんに微笑む。


こんな浪人の私にまで優しくしてくれて、本当に有り難いです。サクずるいです。





こうして朝風呂を満喫して、寝起きの悪さも飛んでいった私。



今日はちなみにハナちゃんがお洋服を見立ててくれて、それはそれは私には可愛すぎるだろう服を着せてもらいました。




「リンちゃん可愛いっ!」


「…大丈夫?浮いてない?私あんまり可愛い感じの服着ないんだよね。」


「えー勿体ない!でもリンちゃんが好きなお洋服の方がいいだろうから明日は別パターンで考えるねっ!」




…じゃあ今日はこのままか。


出来れば今日から考え直して欲しかったけども。借り暮らしの身で我が儘は言えない。諦めよう。