「ほんでほんで?オウスケどしたん?まさか本気でお嬢に惚れたん?」


「か、カイ!そんなんとちゃうって!」


「手離すん惜しかったんやろ。隠さんでええやん、俺にも恋バナ聞かせてや。」


「…俺を…引き上げるって…。お、お嬢も経験者らしいからな!?効率ええやん!?やから別にこここ、恋とか、そんなんとちゃうからな!?」




取り止めのない説明にも関わらず、カイはそうかそうかと。


何回も頷いてその表情は柔らかく。父が子供を見守るような優しい目。




「それに…俺がこのままやと…カイに心配掛けっぱなしやし。」


「お嬢に言われてから気付いたんかい。」


「わ、分かっとったけど…。」


「…俺のことはまあ置いとってええ。とりあえず今はお嬢との時間大事にしーや。」



おーちゃんは珍しく素直に頷く。




「あ、お嬢のめちゃくちゃ可愛いエピソードあんねんけど聞きたいか?」


「それはどうでもええわ。」


「お前がお嬢に買った風船な、割らへんと中身分からんでって俺教えてん。」


「俺も言うた。」



どうでもいいと言いつつしっかり話を聞いているおーちゃん。


カイは嬉々として話を進める。




「そしたらな、せっかくオウスケに買ってもらったのに勿体なくて割られへんねんて。可愛すぎひん?」


「かっ…!ただのアホやん!第一あれ結局金貰ったから俺が買ったんとちゃうし!」



可愛いと叫びそうになったおーちゃんはその言葉を必死に飲み込み。


また可愛くない皮肉を述べる。




「可愛えよな。世界が夢中になるのも無理ないわ。」


「…お嬢は世界のものなん?」


「世界のっていうか、アレンデールは当たり前やけど他の国からも引く手数多やで。本人はのらりくらりするみたいやけど。」


「…そういやヒマリも倍率高かったか。」



懐かしくなり、遠くを見てボーッと黄昏るおーちゃん。