アキトの城へ。


行軍は吸い込まれるように入城する。




私は未だ、トキに寄りかかって眠ったまま。


そんな私を乗せた荷馬車もめでたく城への帰還を果たしました。






「…何してんだトキ。」


「リン疲れて寝ちゃって?起こすの可哀想だからそのままにしてただけだよ?」




私を発見するや否や、アキトが飛んで来た。





「へえ。」


「あー俺も疲れた。とりあえず報告は明日でいいよね。みんなさっさと休ませよう。」




そして目敏いアキトがすぐに私の傷に気付く。


トキの読み通り、その傷を見つけたアキトの顔は険しくなる。





「お前が付いてて何してんだ。」


「…止めようと思えば止められたけど、思いの外リンが楽しそうでさ。」


「言い訳すんな。」


「あーはいはい。」




そう言ってトキが眠ったままの私をまた抱き上げて、荷馬車から降ろしてくれる。


まだまだ険悪そうなアキトに、そのまま私を差し出すトキ。





「どーぞ?」


「あ?」


「アキトの機嫌の取り方、俺が一番知ってるからね。」


「…けっ。」




なんだかんだ、素直にトキから私を受け取ったアキト。



トキはまた楽しそうに笑うだけ。


アキトは私を大事に抱えたまま、自分の部屋へと歩みを進める。





そして部屋の寝台に私を寝かせて、アキトもまたその隣に横になる。





「…本当に全戦終わらせて来やがって。」




私の頭をその腕に乗せて。







「これでやっと、明日から遊べるなあ。」




嬉しそうに呟いて。



二人仲良く眠りにつきました。