あれから戻って来たカイに、おーちゃんが帰ってしまったことを伝える。


カイは呆れたように溜め息を吐いていた。




「護衛問題は大丈夫?」


「…こうなったら俺はお嬢に守ってもらうし、寧ろ得かもな。」


「カイってそんなに狙われるの?」


「こんな仕事やし、山程恨まれとるやろうな。」



そんなに恨まれる仕事だったのか。


私には楽しそうでしかないお仕事だったんですけど、今後私も気を付けて行こう。




「カイを守るためなら剣抜いてもいいのかな?」


「…わざわざオウスケ気遣ってくれたん?」


「気遣ったってほどのことじゃないよ。それにおーちゃんは間違ってない。本来どの国もおーちゃんみたいな正義を掲げるべきだよ。」


「…お嬢はほんま、オウスケより大人やな。」



そうでしょうそうでしょう。




「…でも、それが出来ないから戦はなくならない。」


「せやな。」



レンも戦は嫌いだって言ってた。


あれは医術師としての大義で使命に反するから嫌だったんだろうけど。



…おーちゃんは違う。




「第一将なんて誰が任命したんだろ。」


「…そうやな。」



第一将の肩書きを背負わせて、無理矢理に将軍の座に縛り付けてるとも取れる。


確かに武力は申し分ないから気持ちは分かるけど。




「私が怪我するの、周りは基本嫌がるし心配するし面倒なんだけどさー。おーちゃんは怖そうだった。」


「そんなんまで分かるん?」


「何となくだけどねー。だから私あんまりおーちゃんといない方がいいと思うんだけど、どうにかならない?」


「今んとこ無理やな。」