トキは嬉しそうに笑っている。




「不毛な恋に溺れるアキトなんて見てられないからね。」


「俺が恋に溺れるように見えるか?」


「もう充分溺れてるし沈んでるって。それに、そんなアキトの気持ちも理解出来なくないくらい、リンはいい子だって俺も分かったから。」


「金の力は恐ろしいなあ。」




リンの恩賞を根こそぎ持って帰って来た時の嬉しそうなトキを思い出し、俺も思わず笑う。




「今となっては、リンは国を追われたただの女の子。どこかの国のお姫様じゃない。」


「ああ。」


「それにレンとの結婚も、本人達がどう思ってるのかは知らないけど。実質セザール王家の家系図からはリンの名前は抹消された。」


「…へえ。」




謀反を起こした人間の名を、みすみす歴史に残すわけにはいかない…か。


これで体裁としてはレンもリンも独身に戻ったわけか。






「…あ、いけない。俺王宮行くんだった。アキトは城から動かないでね。」


「おー任せろ。」




トキは、今後の戦の展開を王宮の軍部と話し合うために王宮へと旅立った。



そんなトキがいないと、戦にも行けずただ暇を持て余す。